@kurodoraneko15五つあった物は何だったか、今の僕には思い出せなかった。 (小説『東京ソーシャルディスタンス』より) 2021.04.26 maru百合子は冷たく言った。 「東京に来ないで」と。 彼女が「電気を消して」と囁くと、眩いほど赤く輝いていたレインボーブリッジすら闇夜に溶けていった。 固く約束した三つは今も覚えている。 でも、五つあった物は何だったか、今の僕には思い出せなかった。 (小説『東京ソーシャルディスタンス』より)